自分だからこそ大好き

ある養護学校の先生と生徒の交流の物語を紹介します。
「違うってことはもっと仲良くなれること」(山元加津子著、樹心社)より。


雪絵ちゃんは、高い熱が出ると目が見えなくなったり、手足が動かせなくなったりするMSという病気を持っています。リハビリの間に、だんだんと元にもどってくるのですが、発熱前とまったく同じ状態にもどることはむつかしく、今は目が見えにくくなっていたり、杖や車椅子を使ったりしています。
雪絵ちゃんが発熱するとわたしはおろおろして、どうしていいかわからなくなりました。でも雪絵ちゃんは、一度は落ち込むようなことがあったとしても、いつも自分の力で立ち上がるのです。雪絵ちゃんは、いつもこう言います。

「MSである自分を無駄にしたくない、MSである自分を後悔したくない、MSである自分を・・・好きと言いたい」

           


そしてこうも言いました。
「MSでも自分を愛していきたい。大好きでいたい。楽しいこといっぱいあるし、いっぱい笑えるし、MSになったことをすこしは感謝したいくらいの気持ちなの。だって、MSだったから先生に会えたんだよ。ほかのまわりの人にも会えた。もしMSでなかったら、別の誰かに会えたかも知れない。でも私は、今まわりにいる人に会いたかったの。先生に会いたかった。ほかの人じゃ嫌なの。MSだからこそ気づけた素敵なこともたくさんあるの。とにかく私は、どんな身体になっても、歩けず、見えず、手を使えず、話せなくなっても、きっとMSの雪絵を愛していくと思います」
自分だからこそ大好きと思えるのって、なんて素敵なことでしょう。障害を持つ人、病気の人は楽しいことがないんじゃないかと思われる人が多いかもしれないけど、けっしてそうじゃないんだよ、と雪絵ちゃんは輝きながら教えてくれるのです。雪絵ちゃんはいつも「私の勇気」です。生きることって素敵です。